16.羽音を立てて飛び去るもの

『もし唇を触れたが最後、何かが羽音を立てて飛び去るだろう。二度と還って来ないだろう。いつまでも終わらない音楽のようなものを、この美しい青年との間に保つには、指一つうごかしてはいけないんだわ。夜も昼も息をひそめ、二人のあいだに塵ひとつでも動かないように気をつけてなければいけない』
ゆっきー先生「禁色」、S潮文庫、P.516〜7より引用、
鏑木夫人は、出会った時から悠一にご執心だったんだけど、百戦錬磨な手管にも靡かない悠一と自分の夫との決定的なシーンを目撃し、その理由は分かったんだけど、ショックで京都に隠遁してしまいました。が、悠一が助けを求めて連絡してきた為、サポートする決心をしたのです。で、かつてあんなに望んだ寝室を共にする機会を得たものの、何も出来ず、しないという決心をするのでありました。悠一がノーマルだったとしても、そーゆーことってあり得るよね。
どんな羽音なんでしょう?