17.嫉妬

年配の男色家の愛を耐えがたいものにするあの二重の嫉妬が河田の独り寝を妨げつづけた。男が浮気女に抱く嫉妬と、盛りをすぎた女が若い美しい女に抱く嫉妬と、その二重の錯綜に加えるに、愛する者が同性であるという奇妙な意識が、女に対してなら大臣宰相も甘受する愛の屈辱を、許すべからざるものに拡大して見せたのである。男に対する愛の屈辱ほど、河田のような人物の男の自尊心を真向から傷つけるものはなかった筈だ。
ゆっきー先生「禁色」、S潮文庫、P.525より引用、
男色家はどうなのか分かりませんが、女は才色兼備な同性に対しても、「でもあの人性格悪いよね!」とか言う図々しさがあるけれど、男は負けた…と完全に白旗をあげるそうです。若く美しい悠一に蔑ろにされた中年男の悲哀ですね。
嫉妬…